発達障害と食事:子どもの食べ物に潜む課題と対策
2025.05.16

東京都板橋区にある小児専門デイケア施設ハートライン清水町です。今回は、「発達障害と食事:子どもの食べ物に潜む課題と対策 」についてお話をしていきます。
目次
- 発達障害の子どもが食事でつまずきやすい理由とは
- 偏食や食感のこだわりが生活に与える影響
- 食事にまつわる親のストレスとその背景
- 無理なく進める“食の支援”とは
- 栄養だけにとらわれない、食べる楽しさの育て方
- 専門職と連携してできる具体的な対策
- 最後に
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発達障害の子どもが食事でつまずきやすい理由とは
発達障害のある子どもたちにとって、食事の時間は必ずしも「楽しい」時間とは限りません。感覚の過敏さやこだわりの強さ、集中力の持続の難しさなど、さまざまな特性が食べることに影響を及ぼします。たとえば、野菜の食感が気になって一口も食べられなかったり、においや温度に敏感すぎて食べる前から拒否反応を示したりする子も少なくありません。一見、単なる「好き嫌い」に見える行動の背景には、子どもなりの理由がしっかりとあるのです。
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偏食や食感のこだわりが生活に与える影響
偏食が続くと、当然ながら栄養バランスの乱れや体調不良が心配になります。しかし、それだけでなく、日常生活や集団行動にも影響が出てきます。保育園や学校の給食を嫌がって登園・登校を拒むようになったり、周囲との食事の場でトラブルになったりと、本人の自尊心にも関わってきます。また、家族が「これなら食べてくれる」と限られた食品ばかりを用意することで、ますます食の幅が狭まり、負のループに陥ってしまうこともあります。
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食事にまつわる親のストレスとその背景
子どもの偏食や食のこだわりに悩む親御さんはとても多く、「どうしてうちの子だけ?」「何を作っても食べてくれない」と自分を責めてしまうケースもあります。毎日の食事が“親子のバトル”になってしまい、心身ともに疲弊してしまうご家庭も少なくありません。特に、外食や親戚の集まりなどで「まだそれも食べられないの?」と周囲から心ない言葉をかけられた経験があると、親自身が食事の場面に苦手意識を持ってしまいがちです。こうした悪循環を断ち切るには、親自身の心の余裕も欠かせません。
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無理なく進める“食の支援”とは
無理やり食べさせようとしても、子どもはかえって食事に対して拒否感を強めてしまいます。大切なのは、「少しずつ慣れていくこと」を前提にした支援です。たとえば、苦手な食材を食卓に並べるだけでOKの日をつくる、手で触ってみるだけの日をつくる、香りだけ確認する、といったステップで、段階的に慣れていく方法があります。また、食材の切り方や調理方法を変えることで、同じ食材でも食べやすくなる場合もあります。焦らず、子どものペースに合わせて進めることが、何よりのコツです。
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栄養だけにとらわれない、食べる楽しさの育て方
「栄養をしっかりとらなきゃ」と考えすぎるあまり、つい食べる内容ばかりに意識が向いてしまいがちですが、子どもにとって大切なのは「食べるって楽しい!」という気持ちです。まずはその感覚を育てることが、結果的に食べられるものを増やす近道になります。たとえば、食材に顔を描いたり、一緒に買い物や調理をしてもらったりと、遊び感覚を取り入れることで、食事に対するハードルが下がることがあります。「これなら食べてみたい!」という好奇心を引き出す工夫も、家庭でできる有効な支援の一つです。
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専門職と連携してできる具体的な対策
発達障害に関わる食の課題は、家庭だけで解決しようとすると限界があります。そんなときは、言語聴覚士や作業療法士、管理栄養士など、専門職の力を借りることがとても有効です。たとえば、咀嚼や嚥下の機能に問題がある場合は、リハビリの視点から支援することで、食べやすさが格段に向上することがあります。また、心理的な要因やトラウマが食事に影響している場合は、心理士や児童発達支援の専門家が関わることで、子ども自身の気持ちに寄り添った支援が可能になります。ハートライン清水町でも、医療・福祉の多職種が連携しながら、食に関する悩みに個別対応しています。
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最後に
発達障害のある子どもにとって、食事は単なる“栄養補給”ではなく、感覚や心理、環境などさまざまな要因が複雑に絡み合う課題です。しかし、少し視点を変えたり、支援の方法を工夫したりすることで、必ず道は開けてきます。「食べられること」だけを目標にするのではなく、「食べることが怖くない」「楽しみになった」と子どもが感じられるような関わりを、私たち大人がしていくことが何よりの支援です。家庭で一人で抱え込まず、専門機関と一緒に進めていくことが、親子の笑顔につながっていきます。もし「どうしていいかわからない」と感じたら、ぜひ私たちにご相談ください。食事という日々の営みが、子どもにとっても親にとっても優しい時間になりますように。
以上、東京都板橋区にある小児専門デイケア施設ハートライン清水町でした。
何かあれば気軽にご相談くださいね。